長い下積み時代もメンバーをまとめ、紅白出場まで導いたリーダーの酒井一圭さんのエピソードを紹介。
メンバーを騙して純烈結成
13年前、仕事のあてが一切ない中、メンバーを集めたのはリーダーの酒井さんでした。
しかも、6人中5人は歌手活動の経験がない俳優や学生。
戸惑うメンバーたちをことば巧みに口説き落とした。
白川への誘い文句
「2〜3年で紅白に出て親孝行できるぞ」
<酒井さんが白川さんをスカウトした理由>
俳優時代、打ち上げのカラオケで聞いた白川さんの歌声がずっと心に残っていた。
元々(自分は)俳優をやっていて
「お前このままじゃね、もしかしたら上にあがれないかもしれないからムード歌謡やろう。
レコード会社・テレビ出演も決まっている。
2〜3年で紅白出れるし、お前の親も高齢だから親孝行できたらいいんじゃないか。」
親孝行って言葉が刺さりましてね入ったんですよね。
だけど何にも決まってなかった。
『詐欺師』ですよね。
絶対白川は『親孝行』で釣れると思いましね。
小田井への誘い文句
俳優として仮面ライダー以降ブレイクできず30代半ばに差しかかり、将来への不安があった小田井さんに「歌もやれば俳優も続けやすいぞ」
<酒井さんが小田井さんをスカウトした理由>
かっこいいだけではなく、面白くて、親しみやすいキャラが魅力的だと思った。
「歌手で有名になればテレビ・映画のキャスティングの担当が見てる。
紅白に出るということは純烈のたくさんのファンがいる。
そのファンを担保にこの人(小田井)をキャスティングすればたくさんの方々が見てくれるぞ。」
と誘われました。
そうです。
大事なのは有名であること。
僕が感じてたのは小田井さんて、絵が上手だったり、大阪の面白いおじさんとか親父ギャクが好きやしみたいな魅力がたくさんあるんです。
それを発揮できず、そのかっこいいの一点集中でいってたんですけど、小田井さんてプライベートで喋ったら面白いしなってそこをついたんです。
後上への誘い文句
「不景気で就活も大変だろ?こっちは楽しいぞ」
<酒井さんが後上さんをスカウトした理由>
学生時代、車にひかれても軽傷で済んだと聞いて「こいつの強運は純烈に必要!」と思った。
(自分は)大学生で丁度経済的に一番きつい時期で大学の就職率ってのも前年比でかなり落ち込んでたりとかそういう世相だった。
やっぱ詐欺師(酒井さん)というのは下調べが一番大事なんですね。
全部調べた上で
「お前、就職大変な時期だろう?
純烈の就職試験はお前の覚悟だけだから。どんどん自分の力で開拓していけるからこっちは楽しいいぞ!」
コロッとやられちゃいましたね。
デビューした後、実家に送ってもらうことがあったんですが「お前んち知ってるよ。」って。
念入りに下調べしてましたね。
こいつが一番イージーやったね。
(白川・小田井)俳優時代の給料だったり、マネージャーや会社との関係やったり、本人の不満やったり全部ね。
ハートを窃盗するわけやから・・・(笑)
一人一人と真剣に向き合い、才能を感じたメンバーと純烈結成したが、仕事は一切なく、デビューまで2年半ボイストレーニングするだけ。
デビューしても全く売れず、キャバレーでCDを手売りする日々。
長い下積み時代の酒井さんのウソ
この頃、心折れそうなメンバーのために酒井さんはある嘘をつきつづけた。
メンバーの給料は自分のお金で穴埋めしていた!
グループの収入からメンバー1人に渡せるのは年2万円ほどだった。
酒井さんはそのことはメンバーには教えず、自らバイトで稼いだお金を足して給料としてメンバーに渡していた。
最近まで知らなかったですね。
なんかのTV番組の打ち合わせでそんな話が出て、初めて知りましたね。
感謝ではあるんですけど、ちょっとショックでしたね。
それが酒井くんの美学というか、リーダーシップの取り方のかもしれないですけど、そこは腹割って話して欲しかったなって気持ちはちょっとあります。
このウソで苦労したのは酒井さんの妻の美紀さん。
専業主婦で当時3人目の子どもが産まれたばかり。
酒井さんから渡されるお金はわずかばかりでした。
酒井家家族全体で総じていうのは
「一圭の文句を奥さんは言っていいのに言ったこと聞いたことがない。」って。
ないと言ったらウソになってしまうんですけど、もうなんかしょうがないかなっていうふうに諦めていたっていうのがちょうどいい言い方なのかな。
期待はしてましたけど半分は諦めですね。
普通の人が歌手になって紅白を目指すなんて思わないし、そういうことを本当に「できるよこれなら!」っていうふうに自信を持って初めてみたりするところに『ああ〜この人できるかもしれない。夢が叶うかもしれない。』っていうふうに思えたんですよね。
父と弟が教えてくれた愛情と信念
バイト代を給与に回しメンバーを愛し、売れなくても決して諦めなかった酒井さん。
その愛情と信念は父 伸一さんと弟 隆行さんが教えてくれた。
自閉症の弟がいるんです。
小さい時は、耳に石を入れて取れなくなって手術したりとかホントすごくて・・・
なんでこういう子が弟やねん
理解できない行動を繰り返す弟に対する父の行動は・・・
弟はマンホールのマークとか企業のロゴとかが好きでずっとそんなばっか見るんですよ。
父は何時間でもそばで楽しそうにその姿を見つめていたんです。
「こういう子やけど全然人と違うけどこの子ははこの子やで」っていうのを父が教えてくれました。
どうやったら優しくなれるのか。
人を見続けるとかというのは弟だと思うし、お父さんの大きさ、その中で育ててもらった。
父 伸一さんは過程を支えるため、大学進学を諦めて建設会社に就職。
温厚かつ真面目な人柄。
40年間一つの会社で勤めあげた。
一方、酒井さんは20代で俳優業に行き詰まると商売に手を出すなど中途半端な人生を送っていた。
逃げつづけて、逃げつづけての人生だったんで、純烈を始める時に初めてここだけは父を真似たろ!
とにかく、続けるとか諦めない、誰かのせいにしない。
誰かのせいにしたら負け!
自分のせいや!
そんな形を取ったらなんとなく回っていくようなイメージになってきて、あっこういうことなのかなって・・・
売れなくても父のように諦めなかった酒井さん。
2015年、スーパー銭湯でのライブが人気に火がつき、純烈の収入で食べて行けるようになる。
その年の冬、父 伸一さんが心筋梗塞で他界。
倒れたことを母に知らせたのは一緒に出かけていた弟 隆行さんだった。
弟が父の時計を持って母のところに行き「お父さん、おとうさん、お父さん・・・」って
なんで時計持ってる?ってなって、急いで2階から降りたら父が倒れてたんです。
多分、父は倒れながら自分の時計を外して弟に渡したんだと思います。
それをなんか予期して「お父さん、お父さん・・・」って言いに行った弟もすごいです。
弟は今も元気に作業場とかで働いてくれています。
父は紅白を見る前に亡くなったんでそこは心残りではありますね。
父の死で誓った紅白出場
亡くなった後、父 伸一さんが酒井さんの家族に少ない貯金から仕送りをしてくれていたことが判明。
最後まで愛情を注いでくれた父にある誓いをたてた。
絶対に紅白に行くんや!
ここからホップ・ステップ・ジャンプ 3年後、2018年絶対紅白に出るっていうのを決めて、無駄なくこの3年間やったろ!と腹をくくれたのは父の死やったと思います。
父の死がもう一個ギアをあげてくれた。
お父様が亡くなられた時に酒井さんが作った歌『言葉足らずのメロディ』
今、心に残るのは仕事に行く父の歩いている姿なんですよね。
その背中を今も追いかけてるのかなあって
純烈への思い
なかった。
個人では苦労したと思ってないんですよ。
その時その時は大変だったけど、楽しかったんですよね。
仲間がいたから・・・
ソロでは折れちゃいます。
絶対無理です。
みんなが応援してくれている純烈なので、僕の一存でやめる やめないじゃないなって感じなんですよ。
元々6人グループで初めて、1人は卒業、1人は脱退で今4人でやらせていただいてる。
リーダーの背中を見てるともの凄く寂しさみたいなのを感じる時があるんです。
お父さんが亡くなる時も紅白出場をバネにして頑張る。
メンバーがいなくなっても紅白出場をまたバネにして頑張る。
そういうことで積み重ねて来たのが後ろ姿の寂しさに出るのかなあって・・・
リーダーには足を向けて寝られないです。
もう一回ベッドの向きを見直します。
『お風呂いただきました』のまとめ
メンバーのためについてきた優しいウソ。
これからは有り余るほどの言葉でたくさんのファンを幸せに騙して欲しい。
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